ごあいさつ

ごあいさつ
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こんばんは*1024



毎度お越しを頂きましてありがとうございます。
火曜の夜、皆様如何お過ごしでしょうか?

あっという間に10月も終わりそうです…

つい先日、ご近所が全国ニュースに乗っかって、中継まで出ていました。
普段足を向けるところじゃないけど、自転車圏内なんですよー。チーバの国、船えもん地区ね。

回復をお祈りするばかりです。

さて。
今日はとぅーまネタです、すみません。

寒くなってきたから入浴剤のCMの新作が出て今回も面白いね、脱いだね、相変わらず白いね、と呟いていたら相方に、相変わらず着眼点が花咲いてるよねと言われました。
失礼な!(でもないかしら?)
で、洗濯洗剤も刷新したとかで新しいの打ってますね。Yシャツネクタイ長袖白衣って、あんまり働いてない人の象徴な気がするのは私だけ?(笑)

そして、ですよ。
ついに、保険の宣伝はじめちゃいましたよ!
これには、驚いたのなんのって。
所帯持ちでもないのに、パパン役!
てか、検査着を着て、どこ調べられちゃうの?オ◇リ?まさかオシ◎?
なんて無駄に興奮しました。

何日か前に映画宣伝の先生チームでヒガ☆マナミちゃんと一緒の枠に収まっていたのにも非常に興奮しましたが、まさか保険の宣伝とは…


おっさんになったな!!


そして、我が身を…
振り返ってはいけません(笑)


小話ですが、ちみちみと進めているところです。
お待ちいただけると幸いです。



それでは。
なんだか寒い日が続きますがくれぐれもご自愛くださいませ。

またのお越しを心よりお待ちしておりますm(_ _)m


こんばんは*1007



毎度お越しをいただきましてありがとうございます。
週末の夜、皆様如何お過ごしでしょうか?

まず。

はっぴばーすでーつーゆー
・・・
はっぴばーすでーでぃーあとぅーまー
はっぴばーすでーつーゆーーーー


失礼しました。


さてさて。
デリ売りの女の子、
先日のdeep marine #3を持ちまして全話終了でございましたー
最後までお付き合いありがとうございました。

ででですが、実は。
あと3パターン考えていたんですが、4パターン目に取り掛かったところでちょっと萎えることがありまして、そのまま5パターン目6パターン目まで行き着くことができなくなってしまったんですよね・・・。
ちなみに4パターン目は写真好きの女の子が写真家になるのは無理そうだと思ってカメラの開発なんかをしてみたいと大学の機械工学科で精密機械を勉強する、そこで電車好きの男の子と出逢ってそんな彼は電車の開発に携わりたいと地方から同じく機械工学科に入学したという。てこんどー3段の彼と、美人だけど実はてこんどー2段だったりする彼女、というふたりの物語の、予定でした(笑)
5パターン目は高校の入学式で出会った彼・彼女。付かず離れず日々を過ごし男の子が彼女を好きになって悶々としておきつつも親友モドキで3年間。彼女は高校卒業記念旅行に出ると言い、彼がついて行ってもいいかと尋ねたところ、男女の友達で一緒になんていけないと返され、じゃあ、ずっと好きだったから恋人同士でならいいのかと問い、いつまでたっても友達から発展できなかった傷心旅行のつもりだったけどそうならなくてよかった、というふたりの物語。
6パターン目はある日デリを訪れた高校生がやたら綺麗な店員さんに恋をして、弟ポジからの恋人昇格を狙って猛攻し続けなんとなく彼女は絆されているように見えたものの、袖にされた休日に街をプラプラしていたらその彼女がこれまたやたらとカッコいい男と連れ立って向こうから歩いてきて素敵でしょ、付き合ってるの、なんて幸せそうに紹介されて玉砕する、ていう話。

なんとなく皆さんの妄想のタシになればと思い申し上げてみました(笑)

さてさてさて。
次回の妄想シリーズですが・・・。
構想はあるんです。そこそこビジュアルスヨンが悲惨な感じの話になる構想だけは頭の中でネリネリされています。
がしかし、まだ一文字も起こしていない状況でして・・・。
や、秋だからやる気がないんだとか、そんなことは言いません(言ってるじゃないのさ)
ですので、これからしばらくは更新の間があく予定です。

ということで、亀更新間違いなし!な状況になりますが・・・。

皆様のまたのお越しをお待ちしております<(_ _)>




deep marine #3





壁に掛けられた時計を見上げる。
11時30分をあとすこしで越える針。
今日も会えなかった、と落ち込む心は二人用のダイニングテーブルに乗った料理を冷蔵庫にしまう速度さえ鈍らせる。
ダラダラとしているうちに帰ってきたりしないかなとか、そんなことを考えて。
ゆっくりやっているつもりなのに3分もしないうちに片付いて、テーブルも綺麗に拭き上げて、そのクロスもぎゅっと絞ってハンガーに掛けてしまっても時計の長針は30度も動いたか、動かないか。
駐車場から見上げたところで部屋が見える訳でもなく、もう何度目になるか分からない溜息を吐いて、車のエンジンをかけた。

一年先に社会人生活をスタートさせた自分だけれど、定時出社定時退社をモットーにしている社風もあり追い込み時期の休日出勤が年に数度ある以外は割と規則正しい生活を送ることができていた。
しかし彼と言えば傍から見れば難なく、のように大手商社に入社し、2年ほどは営業職として社交性の高さを存分に活かしつつ要領の良さを発揮しながら忙しそうな中にも自由な時間を作ることができていたようだが、企画職に就いた途端、見ているだけで目が回りそうな日々を送るようになり、それこそ寝る間も惜しむような生活をするようになっていた。
身体を毀しては元も子もないと心配しつつ、主のいない部屋へ上がり込み少しでも助けになればと洗濯をしたり掃除をしたり、料理をしてみたりとしていたけれど、この間にもしも彼が部屋へ戻れば少しの時間でも彼の顔を、声を、温度を。感じることができるかもしれないなんて邪な根性ももっていたりした。
どんなスケジュールで動いているかもよく分からないから邪魔になってはいけないと電話かけることもメッセージを送ることもほとんど無い。
・・・出てもらえないとか、返事がないとか、そんなことに振り回されるのが辛いというのが本当の気持ちかもしれないけれど。
その実、家主の許しもないままに上がることすら嫌悪されているのかもなんて思わないでもない。
そのくらい、なんというか、淋しかった。
いい歳して何考えてるの、とは思えど。

一度だけ、何日も帰って来ていないらしいということに気付いて着替えとお弁当を用意して彼の職場へ出向いたことがあった。
とっくのとうに終業時刻なんて過ぎているだろうにエントランスが少し薄暗くなっているぐらいで守衛さんに訪いを告げて向かった彼の所属する部署があるフロアは煌々と灯りが点き、男性も女性もなく忙しそうにしている姿が見えた。
彼の名前を口にすると彼に割り当てられているらしいデスク周りのメンバーがギラリとこちらを見たような気がしたけれど、なに、と思う前にまた皆が皆手元に目線を落としたものだから失礼します、と小さな声を掛けて彼のデスクの上に紙袋をひとつ、置いた。
グループリーダーのような人が、折角来てくれたのにまだ会議から戻らないんですよ、待ちますか?と聞いてくれて、でも皆さんの迷惑にもなるから帰ります、と言い置いて、途中の店で買い求めた焼き菓子も一緒に手渡してきた。
少しだけでも会えたら、声を聞けたら、なんて思ったけれど、上手くいかないな、と地下鉄の駅の構内に潜ったあと彼からかかってきた電話のことは、正直あんまり思い出したくなくて、それきりそういうことは一度もしなかった。



ほとんど生活の跡が見えない部屋を見渡す。
そして、水切り籠の中にある、昨日使った皿を見て唐突に思った。
もしも、これさえも彼の負担になっているとしたら、と。

本当は会いたくなくて帰ってこないんじゃないか、とか。
本当は料理も食べてくれてる訳じゃなくて、とか。
その内にいろんな気遣いさえしてもらえなくなってそのままごみに捨てられてたり、とか。

急に怖くなって、砥いだお米も、剥きかけのジャガイモも、下茹でした鶏肉も、持ってきたバッグも全部そのままにして慌てて部屋の外に出た。












あんまりの忙しさにそろそろメンタルクリニックでも行ってやろうかとやさぐれる日々。
実のところ仕事の忙しさに心が傷んでいることはなかったけれど、常に充電切れ間近の状態であることは間違いない。
どこかの部署から差し入れられるコンビニおにぎりを3口ぐらいで食べながら栄養ドリンクで流し込む。
あああ不健康、ああ、会いたい、声を聞きたい、できることなら触りたい。
帰り着く部屋にはキッチンにだけ明かりがついていて、今日も会えなかった、と息を吐く。
振り返った壁にかかる時計は針が2本重なるまであと数度のところを指している。
あんまり遅くならないうちに帰るよう伝えてはいるものの、こうも連日すれ違っていると本当に心が擦り切れてしまいそうで。
冷蔵庫を開けばラップが掛けられた器が見える。
昨日の洗濯物は片付けられていたし、部屋のゴミ箱だってすっかり空になっている。
こんなにしてくれる彼女はどうして何も返すことができない自分にひとつも不満を言わないでいてくれるのだろう。
会いたいとか、声を聞きたいとか、可愛らしい我儘のひとつも思ってくれないのだろうか、なんてバカなことを考える。
考えてしまうのには理由があった。
いくら忙しいとはいえ、隣に座る先輩も、向かいに座る同期も険しい顔でパソコンと向き合いながらも時折鳴る電話に悪態を吐きながらけれど頬を緩めて席を立ち、偉く上機嫌な顔で戻ってくる、なんてことがしばしばある。
自分と言えばこちらから連絡をしない限り、それが彼女の、彼女らしい気遣いだとは分かっているがコンタクトを取ることがない。
しかし、彼女がそうするのは気遣い以上に自分に原因あるということも、なんとなく気が付いている。

半年ぐらい前。
数日の間、着替えに部屋へ戻るのすら面倒で会社の周りの店で色々と調達しながら今にして思えば随分と荒れていた頃。
要を得ない会議にイラつきながらも末席にあるだけの自分では癇癪を起すわけにも行かずただ砂が指の間から零れ落ちるように進んでいく時間に溜息を殺し、ようやくデスクに戻って作業の続きを、という時に声を掛けながらニヤつくメンバーに出迎えられた。
『どこであんな綺麗なカノジョ、みつけたの』
『着替えと弁当らしいよ、ウチらにまで気ぃ遣ってもらって』
デスクの上の紙袋を覗くと言われたとおりの着替えと弁当。
きっと手早く食べられるようにと海苔巻とかサンドウィッチとかそういう。
まだそんなに経ってないというから急いでエントランスまで降りながら電話を掛ける。
繋がってもう地下鉄の改札に入ったというから追いかけるわけにも行かず、人の気配がほとんどないホールで久々に彼女の声を聞いた。本当は戻ってくるまで待っていて欲しかった、そして少しメンバーにからかわれた感じだったのが照れ臭かったのと、自慢の恋人だけれど本当は誰にも見せたくないなんて今以て持つ独占欲と。様々が綯い交ぜになって、ありがとう、の後に少し咎めるような口調で拗ねたようなことを言ってしまったのだ。
息を呑んだような気配があったけど、電車が来たから、と半ば一方的に切られた通話になんと言うか、いつにない後味の悪さを覚えたという記憶。
次に会った時には何でもないようにしてくれていたけれど、あれから二度と、会社に来るようなことは無かったし、仕事が忙しいと分かっている時には殆ど連絡をくれなくなったのだから。彼女の中になんらかのしこりを残してしまったことは間違いなかった。

長い付き合いになるからなのだろうか。
互いに分かり合えていると思い込みすぎている節があるのかもしれない。
否、分かり合えていると思い込んで、怠惰に過ごしているのではないだろうか。
でも、思っていることは口にしなければ分からないのに、なんて思わなくもない。

会えないというのは、こんなにも摩耗するものなのか。
溜息を吐いたところで仕事の山は減らなかった。











「ただいまー」

いつもより数時間早く帰宅できたのはチーム長のお子さんがどうしても明日遊園地に行く、連れて行ってくれなかったらお父さんとは二度と口をきかない、と3日前に脅されたから今日は明日に備えて帰るんだ、と19時を少し回ったところで突然言い放ったからだ。事前に言わなかったのは自分の不幸に皆が嬉しそうな顔をするのが嫌だったから、なんて子供染みたものだったらしい。
久しぶりに早く帰れそうだと、今日も部屋に来てくれているだろう彼女に連絡を入れたが繋がらず、掃除でもしてくれている最中だろうかとあまり気にしないで、そのまま玄関へと辿り着いたのだ。

「いるんだろ?」

下駄箱の定位置に彼女の車のキーがある。
いつもならキッチンにしか灯りは灯らず薄暗い部屋なのにリビングにも電気が点いているから在宅のはず。
そして、気付く。
靴が、ない。
車で帰らない理由でもできたのだろうか、とリビングへ向かえばソファにはコートが掛けられていて、足元にバッグがある。

「・・・おい、」

コートのポケットに入れっ放しにしていた電話を取り出して呼び出し音を鳴らす。
と、足元から音が鳴った。

「・・・、なんで」

キッチンにまわると、シンクの中には明らかに作業の中途だという様々が乱雑に寄せられていて。
包丁すらその中に放られていた。
明らかに異様な光景に、体中の血が下がるのを感じた。

それほど広くない部屋を、扉をひとつずつ開けながら、名前を呼ぶ。
寝室、クローゼット、バルコニー。
洗面所、バスルーム、トイレ。
どこを覗いても彼女の姿が無かった。

車のキーがあったことを思い出して地下駐車場に降りれば指定の車庫に彼女が一生懸命頭を悩ませて購入したフランス製の小型車はきちんと駐車されたままだった。
セキュリティチェックはまずまずしっかりしている物件だからいままで一度も物騒な事件は起きたことのないところだった筈。
無理に連れ出されたらいくらなんでもコンシェルジュだって気付くだろう。駐車場階に降りるのだって鍵が必要なのだから。
そうであれば彼女が、意志をもって出て行ったことになる。
・・・あんなに、色々を投げ出して、急に。
財布も、電話も、この家に戻る鍵すら持たず・・・。
自宅に帰っていればいいが、何も持たずに帰った娘を心配しない親はいないだろうからまず自分に連絡があるはずだ。
それもないところを見れば、週末だから帰ってこないのだろうぐらいに考えているに違いない。
下手に実家に連絡して心配を掛けてはいけない、と考えを巡らせながらとりあえず周辺を探してみようと建物を出た。

薄手とはいえコートを羽織る季節なのだ。
それも持たず、週末の夜が深まろうという時間にひとりで出歩くなんて。
何があったのだろう、コンビニエンスストアやスーパーマーケットに、例えばちょっと足りないものがあって買いに出たとか、そんなこともあるかもしれないなんて楽観的なことを一生懸命考えてみる。でも、財布も置いたままだった。
・・・それとも、何かあったのだろうか。急に家を飛び出していくほどの、何かが起こったのだろうか。
近付いてくるサイレンの音が不安を煽る。
電話を握りしめたところで彼女の電話は今出てきた部屋にあってここに連絡など来ようもない。
真っ暗になった公園、絶対に通るなと言った人通りの少ない路地裏。
ぽつりと見えた街燈に腕時計を確認すれば部屋を出てもう1時間。
走り回ったことと不安に背中びっしょりの汗を今更感じて、一旦戻ろう、と引き返した。もう一度、なにかメモでも無かったか確認して、それから事情を説明してセキュリティカメラをチェックしてもらおうとエレベーターに乗った。



何かに急かされるように彼の部屋を飛び出したものの、行く宛てなどこの週末の夜に思いつくところがない。
加えて荷物まですっかり置いてきてしまったものだから車にも乗れなければ電話を掛けることもできない。
鍵さえも置いてきて、ドアロックが掛かるこの建物の扉は暗証番号だけでは開けられないシステムで部屋に戻ることもできなくなってしまった。
鍵を閉じ込めた、とエントランスのコンシェルジュに申し出れば良かっただろうし、タクシーを呼んでもらって家まで辿り着けばいくらでもその支払いはできただろうからそんな選択肢もあったのだろう。
けれど、そのどれもせず、非常用の階段を上がって、屋上階へ出た。

市内は街の明かりが強すぎてどんなに夜が深くなっても白んでいるから星を望むことはできない。
ずうっと前に、少し、遠出をした先で彼と見た星空を思い出す。
恋を知ったばかりで、幼くて。ただ一緒に居られることだけで、否、一緒に居られなくたって彼を知れた喜びでこの世のすべてが楽しくて嬉しくて、そういう日々だったのに。
長く一緒に居すぎたのかなあ、優しくしてもらうことにばかり慣れてしまって、甘えることばかりを覚えて、自分の喜びばかりを考えていたのかなあ、彼の負担を考えなかったばかりにこんなことになっちゃったのかなあなんて思う。
もう少し自分のことは聡いと思っていたのにな、やだなあ、と空を見上げているのに考えるのは、浮かぶのは、彼のことばかり。
はあ、と吐き出した息が思いのほか白くて、でも、部屋に戻る手段も家に戻るつもりもなくて、腕時計も置いてきてしまったから時間も分からない。
風邪を引いて迷惑を掛けるわけにもいかないか、と諦めて登ってきた階段を漸く降りた。
玄関の前に辿り着いて、インターホンを鳴らしたけれど応答が無いからまだ帰ってなかったんだ、そう言えばあの部屋の惨状を今更ながらにどう説明すればいいだろう、帰っていないのなら好都合かもしれない、コンシェルジュに、と思い立つと同時、ポーンとエレベーターが到着した音が内廊下に響いた。





「あ、」

革底の靴の、鳴る音が聞こえる。
このリズムは、彼の、音。
帰ってきちゃったんだ、と思うより早く思わず音になった小さな声に靴の音が些か早くなった。

「・・・っ」

立ち上がると同時、角から姿を現した彼になんと言っていいか分からなかった。
会社帰りのスタイルだろうと思っていたのに手には鞄など無く、走り回ったのかいつもならば整えられている髪が乱れ、額は汗に濡れていた。
あまりにも余裕のない様子に何があったのだろう、と思ったけれど言葉を発する前に腕を取られ、無言のまま出てきた部屋に押し込まれた。
靴を脱ぎ、部屋へ上がるのにも掴まれた腕はそのままで、その力は常になくこちらをまるで斟酌していないかのようで、どうしてこんなことになっているのだろう、と俯く心が止まらない。

バタン、とリビングの扉が重い音を立てて、閉じた。

「・・・どこにいた、」

「え?」

振り返った彼の唐突な言葉にビクリと肩が揺れる。
こんな風に低すぎる声を聞いたことが無くて、驚いて顔を上げた。
まっすぐに、見つめてくる瞳は怒っているというより、心配しているというより、とにかく悲しみが溢れてくるようで。

「っ・・・、どこにいたって、聞いてる」

もしかして。
この中途半端にすべてを投げ出したような部屋を見て、急に居なくなったと、何かが起きたと誤解したというのだろうか。
否、荷物も連絡手段もすべて置き去りに、逃げ出した様子は見方を変えればひどく心配を煽る状況になるかもしれない。

「・・・っ、ご、ごめんなさ」

言い切る前に涙が零れてしまった。
どうして逃げ出すなんてことをしてしまったのだろう。
こんなにも心配を掛けて、こんなにも悲しそうな顔をさせて。
我儘な自分のせいで、こんなにも。
こんなにも大切にされて、いるのに、何を、自分は。

「・・・謝れなんて、言ってないだろ、違うんだ、ごめん、大きな声、」

「違うの、ごめんなさい、・・・あんなの、見たら、心配するに決まってるのに、」

嗚咽が混じって、上手く話せない。手の甲で流れる涙を拭きながら彼を必死に見つめれば、彼の目も真っ赤になっていて、ますます自分が嫌になって、情けなくて、涙が止まらない。
一歩近づいて、彼の頬に触れる。と、腕を掴んていた手が、背と腰に廻され、ぎゅうと抱き寄せられた。

「・・・ごめん、俺、」

首筋に埋められた彼の顔。そこから届く声はひどくくぐもっていて。
彼が謝る理由なんて一つも思い浮かばないから、ううん、と謝らないでと首を振る。

「違うの、私が勝手に、淋しくなって、それで、」

「・・・怖かった、」

「え?」

抱き寄せられていたはずなのに小さく震えるようにした彼は私にしがみつくようで。

「・・・見つけられなかったら、居なくなったらって、怖くて、」

「そんな、」

「サイレンが聞こえてくるたび、どうにかなりそうだった・・・」

はぁ、とひとつ息を吐いた彼が少し体を離して、言う。

「・・・淋しくさせたの俺でしょ?帰ってこないのを待つのが淋しかったんじゃなくて、」

多分、あの時のせいだよな、と寂しげにわらった。





小さく聞こえた声に、心臓がドクリと大きな音を立てた。
耳を流れる血の音が聞こえるように全身で鼓動の音を聞く。
急ぎ足を駆け足に変えると、玄関の前で立ち上がりかけた彼女の姿を捉えた。
安堵と、憤怒。
どうしていいか分からない感情のまま彼女を掴み上げ、力の加減も分からないまま部屋に押し込んだ。
従順についてくる様子に小さく息を漏らしながらもこちらを見上げた顔の、何と言っていいか、驚いた、とでもいえばいいか、そんな表情が苛立ちを募らせた。
心配して、損をした、そういうことじゃなくて。
自分が思うほどに彼女は思うことがないから、あんな風に人を心臓を潰すほどに心配させておきながら涼しい顔をするのだろうかと考えてしまって、言いようのない感情に振り回されるのが分かる。

振り返って、目を捉える前に口から出たのは彼女を詰るような音。
その音に顔を上げた彼女の瞳は、ただ、淋しいと言っていて、もしかしてその淋しさゆえにこの部屋を飛び出した、それが顛末だというのだろうかと今更に理解する。

こちらの、爆発寸前の感情を必死に受け止めようとする彼女も、何をか感じたのだろう。
縋りつく自分を宥めるように、柔らかく抱いてくれていた。





コートを脱がせてくれた彼女に、柔らかなブランケットを羽織らせる。
最初に触れた時、服が冷たくなっていたのは間違いなかったから。

「・・・どこにいたの」

結局もらえていない答えを強請れば、

「・・・屋上に、」

「まさか、ずっと?」

「うーん・・・、」

言葉を濁す理由はそれが正解だからだろう。何事もなくてよかったと改めて安堵して。

「・・・風呂、風邪ひくから」

「貴方こそ、こんな寒い日にそんなに汗掻いて、」

「こんな寒い日にそんな薄着で何時間外にいたんだよ、」

「うぅ・・・」

まだ何か言おうとするのを、制して抱き上げる。

「??」

「風呂、一緒に入ればいい」

「ちょ、やだ、入る、先に入るから!」

「だーめ。入ると言ったら、入る」

腕の中で暴れる騒ぐのを唇で封じれば、その動きまですべて止まったから今更の初心な仕草に笑うしかない。
静かになった彼女を、そのまま浴室まで運び入れた。




一緒にお風呂、なんて社会人になってから何度か行った旅行先でこれも半ば強制的に入った温泉宿の露天風呂ぐらいで、恥ずかしくて仕方がない。
もっと凄いことしてるくせにこのぐらいなんだ、と言われたところでどうしようもない。
けれど、すごく久しぶりにシャンプーをしてくれた彼が嬉しくて、幸せで、一体どうしてこんなことになったのか、なんていうのはこの際どうでも良くなってきてしまうほどに心はすっかりと解れていた。

洗面所で髪を乾かしてもらって、並んで歯を磨いて。
温まった寝室に手を繋いで入って、シーツに潜って。
ぎゅうとくっついてキスをしてから彼はまるで体中にある細胞をひとつひとつ温めようというのか、肌を隙間なく触れ、撫で弄った。
いつもと違う様子に齎される悦も放物の軌跡を描くようにじわじわとそして急速に持ち上がっていく。
それが少し怖くて彼の髪をきゅ、と掴むと切なげに眉根を寄せた彼の顔が近づいてきて、そして前触れもなく奥に進まれた。
弾けた放物線に頭の奥まで貫いた閃光が体を小刻みに震わせる。
鋭く押し入ってきたくせに、激しく想いをぶつけてくるでもなくただ抱きしめて宥めるように背を撫でてくれるのが、またいつもと違う様子の彼に見せて、それが心配に思えて今度はどうしたの、と肩に埋まった顔を両手で掬い上げ瞳を覗く。

そして、ああ、と思う。

喪うかもしれない、そんなことを思わせたのだろう。
私が生きている、それを彼のすべてに理解させようと、知らしめようとして、触れているのだと分かった。
だから、彼の背を抱き、与えられるばかりの私ではなく、私も彼を求めているのだと、
彼の想いをすべて受け止め、私の想いをすべて与えた。

放心したまま彼の胸に額を預け息を吐く。
旋毛のあたりに顎を載せた彼がそのまま。

「・・・今日、すごい頑張ったね、」

と、同じ匂いにした髪を指で遊びながらその匂いを吸い込んでいた。

「うん、すごく頑張った」

もう明日はここから出られないかも、と続けたらふふふ、と笑われて。

「頑張ってくれたから、ご褒美あげる」

「・・・ご褒美欲しくて頑張った訳じゃないのに、」

「わかってるよ、だから、もう、心配しなくていい」

「・・・私も、勝手にさみしくなったりしないから、」

「うん、お詫びもするよ、」

「・・・だからお詫びが欲しい訳じゃなくて、」

日曜はデートに行こう、月曜はここから仕事に行って?
その次の日もその先も、おやすみと、おはようを一緒のシーツの中で言いたいんだ。

にゅ、と伸びた手が再びシーツの中に戻ってくると左手の誓いの指に細い銀の約束の証が嵌められていた―――





















信仰心を持っている訳でもなかったけれど、何度か連れられていた教会。
来週は特別なプレゼントを用意しているからちょっと綺麗な服を着て行こうとその日の帰りに立ち寄ったのはドレスショップ。
どうせならお姫様みたいに綺麗な白いヤツにしよう、と、どうせなら王子様みたいにカッコいいのにしよう、と。
それぞれ勝手に好きなものを選んで鏡の前に立ったら、お店の人が溜息を吐いて褒めてくれた。
商売とはいえ上手いなぁとか、満更でもない顔をして、ふたりで笑った。


初めて出会った日に一度きり歌った歌をデータで保存していた自分には称賛の言葉しか浮かばない。
時代は便利になったもので、この歌なんでしょう、と全世界に向かって問いかけたら少しの時間はかかったけれど丁寧に教えてくれる人がいた。
教えてもらえるまでに問いかけの言葉は英語とフランス語とイタリア語と、その位は覚えて増やしたけれど。
返事はどうやらギリシャの人が寄せてくれたようで、翻訳機によればラテン語の祝福の歌だとか。
子供の頃に覚えたらしいという記憶に対して、子供がラテン語で聖歌を歌うのは珍しいから教えてくれた教会も探しやすいのではないか、という答えだった。
何故自分が教会で歌を習ったのか、なんてことはさっぱり分からず母親に聞くと外で遊んでばかりだった幼い頃にその落ち着きの無さを小学校に上がるまでには何とかしなくてはならないとたまたま店が休みの水曜日に放り込めたのがそこの教会で、じっと座って人の話を聞くことや周りの子供達と手を携えて何かを成し遂げる、結局は歌を歌うことだったらしいが、そういうのがいつのまにか仕込まれていて大変有り難かったと言っていた。
ならば彼女はどうしてか、と今度は彼女の母親に聞いてみると幼稚園に通わせても家にいる時と変わらず教室の隅で絵を描いたり絵本を呼んでばかりだったらしい彼女が唯一外に目を向けたのが歌を歌う時だったらしく、それならばその興味を満たす方法がほかに無いかと探した末に辿り着いたのが自分も世話になった教会だったらしい。最終的に物静かな性格が変わることはなかったけれど自分の声をしっかり出す、ということを覚えてくれたから良かった、と言っていた。

母親が言う水曜日の夕方に定時退社して教会へ行くと、その習慣は変わらないのだろう、小さな子供たちが母親に手を引かれて次々とやって来た。
見慣れない自分に興味津々、といった目を向ける子、恐々と見上げる子、ちらっと視線を寄越してからすぐに興味を失った、風に歩いて行く子。
自分はどんな子供だっただろう、彼女はどんな子供だっただろう。
そう思っていると、あの、懐かしい歌が天上から降ってきた。

よく聞けば、四つの和声。
あまりにも透明で清い音に目を瞑ると奥が熱くなるのを感じる。
そして、そんな頃に出会ったはずもないだろう彼女と、自分が手を繋いでいる姿が見えて。
気が付くと子供達の姿もなく、入り口に静かに佇む教会の長らしき人がいた。








数か月前からお休みにしておいてと言われていた12月の、水曜日。
ドレスを借りたお店で頭と顔を整えてもらうと、同じようにパリっと整えた彼が現れた。
あまりの素敵具合に開いた口が塞がらないでいると、本当に美人さんだけどそういうところがちょっと抜けてて可愛いよね、と耳元で囁いてくるから今度は口を閉じて顔が熱くなった。
こういうところがモテ男なんだろうな、と思いつつも嬉しくなる単純すぎた自分が恨めしい。
アタマにくるぐらい今日も素敵ね、というとやっぱり、俺もそう思ったんだと笑うから、それすらも惜しいほどにカッコよくて惚れた弱みというのはこういうことだろうと改めて思う。
コソコソと話す間に自作していたブーケとブートニアを手渡されて、お気をつけてと促された。

今日で何回目になるだろう。
平日に訪れたのは今日が初めてで、更に子供たちが沢山いることに驚く。
この日のためにお話を伺っていたことは分かっていたが、ふたりきりだろうと思っていただけにその祝福が嬉しい。
膝を折り、互いの手を取り。
穢れの無い子供たちの目に見守られながら、彼との長い長い時間を約束し、誓う。
証を交わし、口付けに契りを載せると、その子供たちからの贈り物が奏でられた。

「あ・・・、」

「わかった?」

悪戯っぽく微笑む彼に、涙がポロンと零れて、あとからあとから溢れてくる。
ずうっと前に、一度だけ。
彼と重ねた声に涙した記憶が蘇る。
繋いだ手で口元を隠すと、あなた方の可愛らしい後輩たちが、祝福の歌をプレゼントしてくれました、と同じように誓いを見守ってくれた人が声を掛けてくれて。
この廻り合わせに、私も感謝します。
そう言って、優しく微笑んでくれた。







いつかの約束の通り、おはようと、おやすみを同じシーツの中で繰り返す。
いつかの約束の通り、日曜日にはデートをして、できない時もあるけれど、
いつかの約束の通り、同じ部屋から出掛けていって、同じ部屋に帰ってくる。

いつか、返してもらった答えはこうだった。
デートの前にはこのシーツを一緒に洗おうね?
行ってらっしゃいのキスは、なるべく長い間できるような二人でいたいな。

持ち上げた左の手にはその証が輝き。

白いシーツの中でもう一度キスをする。
閉じ込めた深い海の香りの中、これから出会う新しい毎日を共に抱きしめた―――



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こんばんは*1004



毎度お越しをいただきましてありがとうございます。
水曜の夜、皆様如何お過ごしでしょうか?


あっという間に10月です。
朝晩肌寒くてびっくりします。
そして、今日は団子を食べました。昨日お月見プリンを食べたことは内緒です(誰によ)。
雲のまにまに見えた満月はとても明るく冴え冴えとして綺麗でした。

近況ですが、別に聞きたくもないかもしれませんが・・・。
まず、とぅーまがまた銀幕にのりますね。
同僚役にヒガ☆マナミちゃんですよ、もうジタバタします。
何回目でしょう、まじょっこさいばん、まんまるの荒野、おれらがいたっけ、で、4回目か。ふむ。
キャスト発表を見た時に覚えた興奮を誰に伝えればいいのかと悶えたのは何時だったか・・・。
でも、こーこーせーにてーだすせんせーってのはアレです。
ヘテロカップルだとあんまり萌えない・・・。身勝手なことを言ってみます(おいー)
ヘテロじゃないカップルだと大分萌え倒せるんだけどな・・・。
そして数日後がとぅーま33回目の誕生日です。めでたい。

さて。
デリ売りシリーズ、お楽しみいただけてるでしょうか?
私は楽しくやっております。
そして、明日更新の3話目でシリーズ最終話です。
明日の予告でございます。
拙いものではございますが、お楽しみいただけると幸いです。

それでは。
またのお越しをお待ちしております<(_ _)>